BABY Peace Markを送るぜ この素晴らしい世界へ

長い目で見たら、努力しても、しなくても一緒。

無題

にほんブログ村 その他日記ブログ インドア派男性へ にほんブログ村 音楽ブログへ

親父が癌になるまで、毎週金曜日はミーティングのあと、必ず飲み会があった。

 

焼肉を死ぬほど食べたあとに、親父の愛人の店で飲んでいた。

 

現場仕事を終えると俺は呼ばれて、飲み会から参加していた。当然、俺は夕飯を食べてない、、それなのに、遅れてきた奴は一気飲みを強制されて、空きっ腹の胃にアルコールを打ち込む。売り上げを報告して怒られる。

 

自分で言うのはなんだが、俺はそこそこ歌が上手いので、いつも歌わされてた。もちろん。年寄り連中が好きそうな曲を歌う、、糞食らえ。

 

親父は例のごとく、俺の母親の悪口と俺への説教を延々と始めた、、、これが毎週だ、、

 

一応、社長の息子ってことで、俺の横には常に店1番の若い子が隣に用意されてたが、

 

 

口説くなんてご法度、、常に背筋を伸ばして酒を飲み、社員さんのグラスが空になったら、店の女よりも早く酒を作らないと、説教されるのだ、、息が抜けない。

 

親父が愛人と消えたあとは、社員さんに説教される、、眠い、酔ったし、疲れたし、もう3時間後に仕事だ、、帰りたい。ブラック企業を通り越して、、ここは地獄だった。

 

幹部連中は女を持ち帰りホテルに消えていった、、明日、休みで女を抱けるなんて最高だな。

 

でも俺もこの会社で頑張っていつか、こんなふうになってやる、、なんて1ミリも思えなかった。当時から俺は、、ライブ行きたいな、、

 

BRAHMANのツアー始まったのにな、、休みないかな、、なんて思ってた。一度、店の女と寝たことがあったけど、何か虚しいだけだった。とにかく、ライブに行きたかった。

 

社員さんと少し言い合いになり、俺は店を出た、、腹減ったな、、、帰ってもすぐ仕事の時間だしな、、あー死にたい

 

伊勢佐木町の街をプラプラしてた。

 

兄さん、ソープランドどう??

兄さん、安くするよ??どう?

 

うるさい!うるさい!興味ないよ!

 

呼び込みの男は、諦めて他の人に話しかけてた。

 

俺は、疲れてコインパーキングの路肩に座り、タバコを吸った、、

 

すると、さっきの呼び込みの男が俺のところへまた来た、、

 

めんどくせーな。と思い立ち上がると、、

 

その男は、俺に缶コーヒーを渡してきた。

 

おつかれぇー!!今日はもうだめね!日本人最近、皆んなケチだよ!!

 

どうやら中国人のようだ、、俺はコーヒーのお礼にタバコをあげて火をつけてあげた。

 

その男は、実は女性で、なんか色々複雑そうだった。とにかく明るくて、元気で、生い立ちまで話してくれた。

 

中国にいる家族に仕送りをしていて、夢は日本で飲み屋をひらくこと、金儲けをしてもっと家族を楽にしてあげたいとのこと、そしていつか、歌を唄いたい、、どこでも良いから歌を唄って生活したい。

 

中国人でしかも女、、ソープランドの呼び込み、、男の呼び込みに混じって彼女は堂々としていた。どんなに客から罵倒され文句を言われても、彼女は笑顔で堂々としていた。

 

悪い中国語や中国の女の落とし方を教えてくれ、俺も日本語と韓国語の悪い言葉を教えて、ゲラゲラ笑った。

 

最終的に俺の悩みも聴いてくれて、、

 

虎の子は虎だよ!自信を持て!!と言って肩を叩いてくれた。

 

中国から一人、家族を養うために日本で風俗の呼び込みをしている、若い女、、一点の曇りもない澄んだ瞳、、言葉、一つ一つがポジティブで、俺は自分が情けなくなった。よくよく観たら可愛い娘で、飲み屋で働くこともできたのに、彼女は呼び込みの仕事を堂々としていた。

 

俺のことをミツと呼んでくれ、番号も交換した。番号を教えても風俗の営業なんて一切してこなかった。

 

それから、数ヶ月は街で俺を見つけては、

 

ミツーー!と片言の日本語で話しかけてくれ、お互いの近況を話し合った。

 

1年くらい会えない時があって、たまたま再会したときは、俺に抱きついてきて、

 

ミツ、、覚えてるか?私のことっっ!

 

満面の笑みで俺の手を握ってきてくれた。

その時は会社の連中もいて、中々話せなくて、軽く話したあとに、また会おうと、強く、抱き合って別れた、、

 

あれから、10年、、、そりゃ、電話しようと思えばできたけど、、しなかった。いつの間にか電話番号も消えていた。もう名前すら覚えてない。

 

会社の経営が困難になり、賑やかな店で飲むことは全くなくなった、、、それでも何度か伊勢佐木町で飲むことはあったが、彼女はいなかった、、

 

女の風俗の呼び込みなんて珍しいから、目立つだろうけど、知り合いの呼び込みのオジさんに尋ねても、誰も知らなかった、、

 

彼女は元気にしてるだろうか、、もう中国に帰ったのかな、、夢は叶えられたのかな、、家族を養えてるのかな、、どこかで歌を唄ってるのだろうか、、

 

当時の伊勢佐木町はヤクザだらけだったから、何か事件に巻き込まれてないだろうか、、彼女の生命力があればきっと、幸せにやってるはずだ。

 

俺は10年前から何も成長してないよ。まだウダウダくすぶってるよ。また、いつか会えたら、コーヒー奢ってくれよ!俺はタバコあげるからさ!

 

そんで、またくだらない話をしようよ。

 

あ、、今日も眠れなかった、、朝です。