性春、、
高校のとき、なぜか習字の授業があった。
良く分からないけど、書道の先生はその世界じゃ有名らしく、先生は、未来の無い俺たちにいった。
先生の名前で、大会にだしたら必ず、入賞するからさ、
お前らどーせ、大した資格もないし、入賞したら、内申書に書けるから、何でも良いから書け!
ってことで、先生の好意でクラス全員が、好きな字を書いた。
見事に、クラス全員、入賞して日本武道館に飾られることなった。
俺は、まさかの、黒夢と書いた。
黒夢と書くことを許してくれて、しかもクラス全員を入賞させた、先生、、一体何者だったんだ?名前は忘れた。
そんなある日、俺はアトピー の悪化と、蓄膿で、グジュグジュの顔で、登校した
書道の授業が始まると、先生はいった。
今日は、自習なぁー!適当にやれ!
当然、偏差値がマイナス2の高校だ。誰も自習なんてやるわけがない。
○○ちょっと来い!!
俺は先生に呼ばれた。
辛そうだな!そこに座れ!
先生は俺の頭に手をあてて、顔をしかめた、、
もうすぐ、頭が温かくなるからな。そんで、暫くしたら、鼻水が大量にでてくるから、ティッシュを用意しろ! 膿を出そう。
まさか、、本当に頭が温かくなり、先生の言ったようになった。
先生は有名な、気功師とのこと、
噂だと、週一で気功師仲間と代々木公園に集まって、大地に気を送ってるらしい。
そのお陰で、関東大震災が起きないとのこと、、
そして、そのメンバーの中には鳥山明もいる、、
いやいや、絶対に嘘だろ!
だけど、卒業後にその先生はテレビにちょこちょこ出てたらしい。
話は戻るが、俺が黒夢と書いて入賞した大会に、
性春と書いてる、クラスメイトがいた。
名前は覚えてない。
流石の温厚な先生も、
真面目にやれ!!却下!!と怒っていた。
だったら黒夢もだめだろ??と思った、
あー性春か、、オナニーマシーンね。
って俺はつぶやいた。
休み時間に、俺はオナニーマシーンの曲を口ずさんだ、、曲は覚えてない。
すると、習字の時間に性春と書いた奴が、俺に話しかけてきた。
ヤンキーでもなく根暗でもない。ただ大きなピアスをしてて、いつも寝てる奴だった。
入学してから挨拶もしたことない奴だった。
オナニーマシーン好きなの?パンク好きなの?青春パンク好きなの?
当時、ロック界は暗黒の時代だった。
BLANKEY JET CITY解散、Hi-STANDARD休止、NUMBER GIRL解散、たしかその年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTも解散した。
BRAHMANは当時から人気だった。そして、
青春パンクが流行っていた。
それでも時代はHIPHOP全盛期、悲しい時代だった。
俺は言った!
はっ?青春パンクなんて、ただの売れ線だろ?
BLANKEY JET CITY以外興味ねーな!!糞め!
彼は残念そうに言った。
そうなんだ、、
大好き娘には彼氏がいてさ、その彼氏とのセックスを想像して、泣きながらシコるのがコンセプトのバンドなんだよ。
マジ??下品だなーー!興味ないわー!
会話はそこで終わった。
数年後、俺は青春パンクにドハマりしたのは秘密だ。
それから、そいつと仲良くなった、って言いたいところだけど、挨拶するようになったくらいだった。
ある日、そいつが俺に話しかけてきた。
彼女が妊娠しちゃってさ、、
はっ?彼女みせて!!うわ!ブスじゃん!!便器みたいな顔してるじゃん!ギャルってか、怪獣だな。そんで産むの??いや、無理だろ育てられないだろ?
はぁー?うるせーよ!人の彼女の悪口言うな!確かにブスだけど!そりゃ、産むよ。中絶なんて絶対にさせないよ。
仕事はどうするの?学校は?
その前にさ、彼女のお父さんが、土建屋か何かで、すっげー怖いらしいの。俺、ボコボコにされてくるわ。
そうか、、頑張れよ!!ってやっぱり彼女ブスだぞ!!辞めとけよ!そんなブスに人生捧げるのは、
うるせーよ!!ほっとけ!!
それから、彼は数日間学校にこなかった。
ある日、そつは顔の原型がないくらい酷い姿で学校にきた。
おい!お前、あの話本当だったのかよ?本当にボコボコじゃねーか!!
うるせーよ!だから本当だってば!!
そんで?産むのか?やっぱり彼女ブスだから、辞めたほうが良いと思うよ!
産むよそりゃ!産むよ!!
そう言って、彼は俺に中指を立てた。
そうか、まぁー頑張れよと、俺も中指を立てた。
おう!ありがとう、、
これが最後の会話だった。
そして、そいつは学校を辞めた。
辞めてから一切連絡取ってないし、そいつと唯一友達だったやつも、卒業の数ヶ月後に自殺した。
今、思えば酷いことを言ったと思う。
でも、男子校だったし、それが当たり前だったんだ。
オナニーマシーンを聴くといつも、そいつのことを思い出す。顔も忘れたし、名前なんだったけ??
ってかお前の友達なんで自殺なんてしたの?
書道の時間に、性春と書かれた半紙を自慢げに掲げた、あの光景は鮮明に覚えてる。
当時16歳とかだよな?子供もあの時の俺たちの年齢だろう。
幸せにやってるのかな?
少なくとも俺よりも真面目に生きてると思う。
なあー、お前の大好きなイノマー が亡くなったよ。
まだパンクは聴いてるのかな?
俺はあの時と何も変わってないぜ。あれから、俺も青春パンク好きになったんだよ。
あの時、BLANKEY JET CITYしか聴かないなんて、カッコつけて悪かったね。
俺たちって、青春パンク世代なんだってな。知らなかったよ。
迷いもなく、子供を産むと言ったお前を今はとてもカッコ良いって思うんだ。
ロックってさ、パンクってさ、やっぱり1人の女を不器用に愛し続けることだよな。
不細工なガキが無敵になれる最高の武器だよな!
お洒落パンクなんて糞くらえだよな!
なぁー。イノマー が亡くなったよ、、
多分、俺たちはもう二度と会わないと思うけど、
イノマー 頑張ってたよな。本当に頑張ってた。
イノマー 、、本当にお疲れ様でした。