小学生の頃、買い食いはもちろん禁止だった。
両親が共働きだったので、お金はもらっていた。もちろん、ご飯代ね。
とーぜん。子供だ、ご飯よりもお菓子を買うよね。買い食いするよね。
俺は、毎日のように、隠れて駄菓子屋で買い食いをしてた。
ある日、買い食い現場を同級生に見られた。
優等生ぶった嫌味な奴だ。
俺は、鼻垂れながら言った。
先生にチクったらぶっ殺すからな!!
おー、お決まりのセリフだね。
そいつは、黙ってその場を立ち去った。
翌日、俺は先生に呼ばれて怒られた。
あー、野郎!!本当にチクったな!!
そいつを呼び出してぶっ飛ばしてやろうか?どーしようか??
先生は、俺の両親に報告すると言ったが、電話しても当然、両親はいない、仕事してるからね。
仕方ないと、先生は諦めてくれた。
チクった同級生への怒りよりも、
両親がいないことを再認識した俺は帰り道、一人で泣いた。
父親は船乗りだった。とても貧しくて、母は水商売をしていた。
毎晩、眠るころに、母は帰ってきて、俺は母に甘えて抱きついた。
母の酒臭さと、香水の匂いは今でも覚えてる。
数年後、父はバイク事故で死んだ。あとから知ったけど、外で愛人と子供を作ってたらしい、
船乗り?だから、帰ってこないと思ってたけど、ほかに家庭があったんだね。
知ってて水商売をしてた母親はどんな気持ちだったのかな?どんな気持ちで俺を育てたのかな。
死んだお母さんに会いたい。
話は戻るけど、
先生に怒られた、数日後、俺をチクった野郎が、妹をつれて下校してた、
妹と手を繋いで歩いてた。
駄菓子屋の前で妹は、お菓子が欲しいと駄々をこねていた。
野郎は、駄菓子を買って妹に買い与えていた。
俺に気づいたのか、バツの悪い顔をしていた。
俺は、当然仕返しで、先生にチクった。
野郎は、先生に怒られて泣いていた。
ざまーみろ!俺を敵に回すからこんなことになるんだ。
もう、遥か昔の話だ、、、、
ただな、ミツ、親父は最近、このことを思い出して寝れないないんだよ。なんて卑怯なことをしたんだと、、お前にも妹がいるだろ?
妹のためなら何でもするだろ?
何で親父はあの時、チクったのかな。
その子の家も親がいなかったんだよ。
未だに思い出して、泣きそうになるんだ。
そう、これは、俺の話じゃなくて、親父の話、
この前、久々に会った時、酔って話してた。
親父!去年、危篤になって、愛人と隠し子が多すぎて、家族の人を呼んでください!って言われて、どの家族を呼ぶの??って社員さんを困らせたよな!!反省しろチクショー!
まあー、、でも、この話を聞いてさ、俺は貴方の息子なんだなと、痛感しましたぁー!
早く、俺のお母さんに慰謝料払ってくださーーい!!!お姉ちゃんに虐待してたこと、謝ってくださーーい!
虐待されたのに、姉ちゃんこの前心配してたよ?お父さん元気??ってさ。泣けるじゃねーか!こら!!